夢幻城ばぁる: 『この大空に、翼をひろげて』 感想

2012年5月25日金曜日

『この大空に、翼をひろげて』 感想

早速ってか速攻でクリアしたので感想を書こうかな、と。
24日に営業所に行って入手(店舗特典でどこなのかはテレカでわかるんで伏せてあります、いい機会だったので届いたQUOカードも込みで撮影)。
入手してから6時間寝ていたとしてスキップとエンター多用で18時間掛っています。
(天音ルートの入口を探す為に2時間近く食われた件)
普通に読むとこの倍くらいはかかると思う。
全ルート(つまり天音ルート)クリアするとタイトル画面の背景が変わります。



まず、注意点と言うか留意点?

1.正史はおそらく天音ルート
 天音ルートはロックが掛っており、他ヒロインを攻略しないと解放されない。
 (条件を満たすと、風呂場で碧は誰が好きかって話の後辺りに選択肢が出現)

2.佳奈子さん最高
 縛りがない分自由に使えるキャラだからだと思いますが、マー坊と比較にならない活躍。
 あんちゃんと並ぶ名脇役。

3.予約特典パッチの扱い
 本編インスト直後でもクリア後でもいいはず。私は途中で入れました。
 小鳥、あげは、双子、天音の4キャラの追加シナリオが読めるようになります。
 ただ、解放条件があり、各ルートの対応ヒロインしか閲覧できないので、
 全員分見たければ、全ルートクリアするしかないです。
 双子ルートは終盤に選択肢があり、両方クリアしないと解放されません。

4.初回特典の同梱サントラのトラック26→Over the topが二分割されてました。

5.起動できない人はPCのスペック不足だと思われます、こう書かれていますし
 一応サポートへ送っておいてPC買換え見当が必要かも。
 ウィルプラスの標準エンジンがこれになったらどうなるんだろうか……。

6.飛岡がいい奴だった(笑)

7.容量はパッチ込で4.45GB、CG108枚
シーン内訳(パッチ)
小鳥:4(+1)
あげは:4(+1)
双子:1(3Pで+1)
 亜紗:2
 依瑠:2
天音:4(+1)
 

シナリオ
ルートによって話の流れが大きく違います
ガレージ存続→天音
ガレージが破壊される→小鳥orあげはor双子

公式等の扱いから小鳥がメインなんじゃね? と思ってたんですが、今作のヒロインは天音先輩でおそらくこれが正史。他のヒロインは……特に露出が多かった小鳥は!? ってなりますけど、十分ヒロインをしているので安心を。
()の中は各ルートの点数で体験版を100としています。体験版の盛り上がりは反則であり販促だった。

小鳥ルート(75/100)
 最期のサブ含めオールスターで皆で協力する場面の盛り上がりがヤバイ
小鳥の素直さと微妙なつんけん具合がたまらない、巧く活かしていると思う。
どのルートでも仲間内から大切に扱われているのが伝わってくる
「空に恋してるの」は名言。「は?何言ってんだこいつ」と思った、愛すべきアホの子。
足が不自由なのは熱気球の事故によるもので、家族からすればグライダーはもっての外。
ソアリング部でパイロットをしていることが親バレし強制送還されそうになるも、碧が阻止。
小鳥のSOSを場景から掬いあげたり、小鳥のために身体障害者用のコクピットを用意しようとする辺りに絆を感じさせる良い話でした。最終的には家族と和解、モーニンググローリーも踏破、部活も存続、足まで治り、大団円に相応しい締め方だと思います。

 余談になりますが、このルートで驚いたのは身体障害者の部分を身障者って略して表記していた点。その略語に侮蔑の意味があるわけではないのではないのですが、この「身障者」って響きが私は好きじゃないんですよね。冷たい感じがして。


亜紗・双子ルート(60・70/100)
 双子ルートは途中で選択肢があり、一週目は亜紗で固定。2周目はどちらでもない(依瑠)を選択できるようなります。
このルートは話が進むにつれ変化する依瑠が素晴らしかった。
最初は部外者で通していたのに途中から活動を手伝うようになり、いつの間にか姉(亜紗)以外にも気を回すようになり、ガレージに一人で赴くようになりと
少しづつの変化がわかるので、その分だけ思い入れが強く、亜紗を選択した後の依瑠のセリフで泣きそうに。
話は凡才と天才の苦悩、亜紗は自分と違って何でもこなせる依瑠が眩しい。
依瑠は何でもできる故に、無駄な事への価値を見いだせない。
自分には見出せない何かを楽しむ亜紗に憧れる。
2人が目標を得たり、自身を肯定できるようになる変化/成長を描いた物語。
むしろ小動物の観察日記に近いか?

天才らしい行動がそこまで多くなかったこと、権力者の身内でありながらそれが殆ど活きなかった点が気になりました。無粋なこと書きますけど、理事長を利用して圧力を掛ければ廃部の撤回なんて余裕じゃね?


あげはルート(60/100)
ほたるが碧に好意を持っていたのは体験版の時点からモロバレだったわけで、
可愛過ぎワロタ ほたるの健気さがヤバイ
あげはもその辺を察していたためか、あえて碧を避けるような真似をしたり悩み苦しみ結論を出すまでの流れがよかった。
まさに青春だと思う。


天音ルート(70/100)
イスカの謎、飛岡が天音に批判的な行動をとった理由等が盛り込まれ、全て解決する話。
持ち前の天然からエア彼氏自慢や変わらないスベリっぷりはなかなかのもの。
好みのキャラではないというか、この人は性格的に合わないので割愛。


キャラクター
やはり、やってて楽しいゲームはいいサブキャラに恵まれますね。
佳奈子、あんちゃん、ほたる、朱莉さんと碧達はいい人に囲まれてるなーと世界観にしみじみです。


やはり、絵が際立ってますね。キャラ毎の塗りもそうですし、背景がきれいなのは見ていて気持ちいいです。特に瞳の塗りは神掛ってると思う。


演出
ムービーの数がやばい。随所に入ってて凄く丁寧。ただ3Dは別にあってもなくt
スキップを多用すると変化が目につきやすいのですが、顔を表現する差分パーツの変化が細かい。また立ち絵が複数になった場合、透過されたウィンドウで上から追加するってやり方は見栄えもいいしぜひ継続してほしい。
テキストに合わせて画面揺れ入れたり、必要なシーンでは背景動かしてるため雰囲気が伝わりやすいのが素晴らしい。
3Dだけでなく、この辺もスペック上げざるを得ない理由なのかなー。

スキップの速度を最低で今の3倍まで引き上げてほしい。


楽曲
全体的に好みの曲が多いので、かなり気に入ってます。
・A New World
・Evening talk
・Under Drop
・White leaf(Precious WingのBGMアレンジ)
・Open the World(Perfect SkyのBGMアレンジ)
具体的に上げるとこの辺かな。オープニングと挿入歌もそこまで悪くなく。
ただ、体験版やデモなどで露出が多かったのでもう一曲くらい隠し玉が欲しかったですね。


点数
75点

名作になりきれない良作って感じ。爽やかです。体験版の挑戦場面を超えることはできませんでしたが、体験版で楽しめた人なら買って損はない出来。
ルートによって曳航の仕方が違う点もだけど、事件や事故がそのルートだけではなく他でも起きたり……個人の行動パターンが利用されて話が繋がるのは巧いと思った。
世界感の構成要素を組み合わせてる感じかな、元々あるものを振り分けておいて使う時になったらそれを持ち出してくるから割とすんなり入ってくれる。

ところで最期の〆の部分、テキストの表示速度やオート設定をいじっても全部読み上げてもらえないのは仕様なのだろうか。それともこっちの環境のせいなのかな。

この大空に、翼をひろげて』OPムービー



『この大空に、翼をひろげて』たった一つの青春がここに― イメージイラストVer