夢幻城ばぁる: 『すきま桜とうその都会』 感想

2011年6月25日土曜日

『すきま桜とうその都会』 感想

すきま桜とうその都会』の一通りを終えたので感想を。
ネタばれを多分に含みます。読むならそれを理解した上でどうぞ。


ルート

私が攻略順を勧めるなら
ちょこ→花珠→咲良(恋人/妹)→鈴

咲良のエンドは分岐しますが、分岐前までが面白いので正直な所どっちでも構わないと考えています。7月から始まりシリアル入力で入手可能だと言うシスコンパッチを当てたらどうなるのか、楽しみです。
早速DLし、パッチをあてました。描き下ろしCGがいくつかあり、咲良のエロシーンが3回増量。座薬プレイとかマニアックなものが追加。買った人はDLしてみるといいと思うよ。


咲良:エンディングが2分岐(恋人・妹)。 シーン3回
しゃべることが出来ないトラウマをうそで克服する話。
兄妹、互いにうそをついていることに気付いた上で、現状打破をしようと周りに別のうそに同調するよう舞台を整え、たくさんの『うそ』を1つの『ほんとう』に昇華する過程がよかった。
しゃべれるようになるシーンは今作の名シーンだと思う。

花珠:この作品で一番気に入った話、記憶喪失の原因について語られる。シーン3回
助言をくれるサブキャラがなかなかにいい。役目を終えたら消えるってのはやはり王道かな。姉が妹に与えた一つの希望って感じ、素直にいい話。まぁ、台詞から結末を予想できちゃうのがアレだけど。

ちょこ:うざかわいい。シーン3回
花珠ルート同様にサブの活かし方がいい。厨二病っぽく言うなら「自分探し」の話で主人公やサブキャラと絡みながら自己形成していく過程は悪くなかった。
私としてはエンディングが「は? これだけ? だから何なの?」と言いたくなった。咲良と鈴ルートで途中退場していたので、物凄く重い話なのかな? と期待していた分、ことさらそう感じました。ヒロインが底抜けに明るいので、相応しい幕引きではあるんですけどね。

鈴 :おそらくトゥルーエンド。シーン2回
「うその都会」の成り立ちについて語られる。舞台設定は咲良の妹エンド以降、納得できないこともないけど受け付けない。いきなりロボットとかマジイミフ、鈴が腕の中から消えるまではよかったよ……。始まる前まで、謎の夢は、親に監禁されてる頃の伏線かもとワクワクしていたんです(以下、炙り出し)。

体験版の頃から話題を呼んでいた(っけ?)、謎の夢。その正体が「うその都会」の成り立ちであり核心。『うそ』による不正や歪みを排除し最適を目指していった結果、人類はヒトでなくなった。結果、感情を失い機械として動く元ヒトが跋扈する世界(スカイ○ット、ター○ネーターのイメージでおk)。そんな世界に遺された唯一の希望、鈴。コールドスリープから目覚めた鈴を護る存在、主人公『優真』。
研究者だった母親が遺し、鈴に与えた『箱』。『箱』によって人類は、世界は救われると聞かされ、二人はそれを見つけるために生きていた。

大分省略

箱を見つけたことで、すなわち感情を得たことにより世界を編み解く力がはたらいて形成されたものが「うその都会」と平和な世界。

(あくまで私個人の意見だけど、感情の最上位は世界の変革って感じ? なので、まぁアリ。
たとえば、嫌いなやつに「お前嫌い」って言うことによってそれ以降の関係に影響が出る。
言わなかった場合に対し、見えない何かが変化した.と考えられる。
その選択肢によって実際にどう変わっているかは並行世界にでも行かんとわからんけど。
でだ、この影響力が大きくなれば……それこそ全人類、全宇宙に影響を与えることも可能.って風に解釈した)

平和な世界とは『荒廃した世界』ではない世界で言うなれば私達が生きている現実。
その現実の中に用意された、『うそ』を残しておくための街、それこそが『うその都会』。
なぜ、『うそ』を遺しておく必要があったのかは先述した通り、世界を滅びから救う。つまり、再び『荒廃した世界』になることを忌避して。

物語の舞台は平和な世界の『うその都会』
やさしいうそによってトラウマやら厄介事を解決していく物語。正直、『荒廃した世界』の話はいらなかった。モップ云々の件は悪くなかったけど。


メモ

実妹かどうかが重要な人もいると思うので書いておきます。
時系列は平和な世界が後なので、本編の主人公(人間になった)時点では咲良は実妹

荒廃した世界
咲良:存在しない
鈴 :義妹、主人公はロボット。

平和な世界(うその都会)
咲良:同じ母親から生まれた実妹、鈴が世界再編により用意した妹。
鈴 :世界再編により、主人公が別の存在になったので厳密には他人。


キャラクター
妹様と主人公間の信頼の裏返し……むしろ、依存レベルのじゃれ合いが非常によかった。
サブキャラの彩香、ふわりがおいしい役目を担ってて実に嬉しかった。個別でヒロイン+主人公だけの話ではなく、共通から少し顔出ししているサブキャラが絡む作品は当たりが多い気がします。私としてもそういう作品の方が好き。
霞のキャラ設定、どうみても女なのに男だと偽っている点。この“うそ”についての言及が一切ないのはどうかと。(もしかしたら、私が見逃しただけかもしれない。そうだったら、是非教えてください。) うそを認め、主人公と共に屋敷に戻って困難に立ち向かう・解決する展開があるものと信じていたのになぁ。


一枚絵は可愛く描かれていたと思います、逆に目につく回数が多い立ち絵が少し気になった。サブキャラの立ち絵と一枚絵の違いに戸惑った、というか吹いた。
世界感も相まってすごく映えますねー。こんな街があったら行ってみたい。

演出
戦闘面の演出は悪くないね、さすがだ。エフェクトやら加速装置の描写がしてあってそこそこそそります。ただ、この作品に必要だったのかどうかは微妙。
また、加速装置って認識力を爆発的に上げるだけであって身体そのもの反応が速くなるわけじゃないでしょう。それはちょっと違う気がする。ロボットだけど。
ルートを終えるとタイトル画面の背景がヒロイン毎に変化するのはいいよね、こういうの大好き。


楽曲
Brand New VoiceいいよBrand New Voice(及び、枕・Reverberations)。BGMも悪くないし、サントラの曲情報さえ予め登録しておいてくれれば……。これについてはどこのブランドでも言えることだけどね。同人漁ってるとよくあるし。



点数(5点区切り)
70点

鈴ルートでは同日発売某社作品群の特長である『死(自己犠牲)と感動』をやろうとしてやらかした感が凄まじい。どうしてこうも最期にやらかす作品が多いのか。これならご都合主義でもいいので、人の優しさや希望からこの都会が誕生した……みたいに濁してよかったと思うよ。作中で「いきなり野球を始める作品は云々」とかネタにしておいてこの体たらくはどうなんでしょう。
私の感想としては、妹・花珠・ちょこ目当てならアリ、上で簡単に触れたようにかなり楽しめました。ただ、先述したように鈴ルートには期待してはいけない。苦しすぎるね。



すきま桜とうその都会』オープニング