夢幻城ばぁる: 『穢翼のユースティア』 感想

2011年5月4日水曜日

『穢翼のユースティア』 感想

穢翼のユースティア』を終えましたので、久々に感想を書きまとめてみます。
旧ブログのテンプレ(と呼ぶ程のものではないけど)が消失したので、新たに作り直し。
確認も兼ねて基準を列記。以下の5項目について感想を書き最後に点数を付けます。


シナリオ
物語・世界観について。誤字・脱字はあまり気にせず、自分が惹き込まれるかどうかが重要。整合性云々は、あまりに酷く「えっ?」と突っ込まなければいけない場合のみ気にします。考察の有無はその時の気分による。

キャラクター
気に入ったキャラクターについて。


一枚絵とか立ち絵とか色々ありますし、その辺について書ければなと。

演出
エフェクトの類や場面の表し方について。

楽曲
BGM・オープニング・エンディング・挿入歌について。

点数(20段階制)
5点区切りの20段階制であり、視覚的には逆三角形型で高得点になるほど要求されるものが多い.ってイメージです。それに則れば、つまりどんなに酷いゲームでもそこそこの点数になるということ。



さて、ここから書きまーす。普通にネタばれ入ってるので気にする人は控えてね。
というか、章毎のあらすじを網羅しちゃってまs(殴



シナリオ
1章から5章構成、サブタイトルはわかりやすいように勝手につけているだけです、誤解なきよう。


1章:牢獄に出没する黒羽の噂を聞き不触金鎖と羽狩り隊長フィオネの共闘
ヒロイン:フィオネ
牢獄を締めている不触金鎖でも把握できない死体が多数見つかる、そんな折にルキウス卿管轄の羽狩りから捜査協力の依頼を受ける。
協力するにしても縄張りや組織の関係で、構成員を代表に仕立てるわけにはいかず、カイムに白羽の矢が立った。カイムとフィオネが調査により黒羽が実在することが判明し、同時に羽狩りが保護予定の罹患者が次々に葬られるという事案が発生、二人は予てより疑っていた内通者の存在を確信することとなり、捕縛に成功する。
しかし、事件はそれで終わっておらず犯人は黒羽の模倣犯であった。事件が続く中で本物の黒羽を探すことができたが、その正体は……

正直、面白かったですねー。「これで1章なんだから どんだけだよ!」 ってわくわくしました。
戦闘描写は演出面(後述します)であまりにおざなりですが、それを差し置いても描写が丁寧なので読んでいて全く苦痛にならなかった。頑固なフィオネが少しづつ変わっていく過程もよかったと思う。


2章:麻薬をめぐって不触金鎖と風錆の勢力抗争
ヒロイン:エリス
黒羽の正体・原因と治癒院の所業、彼の遺言から治癒院の存在に疑問を持つカイム。麻薬売買によりさらに勢いをつけた風錆、利害の一致から、縄張り争いに手を焼いている不触金鎖はルキウス卿と組織を潰すために協力を取り付ける。
リリウムの人間にも麻薬の被害者が出ることとなり、本格的に捜査を進める。ある日を境にエリスが人格障害を引き起こすようになる。それは、彼女の出自とカイムの態度に起因していた。カイムは出自について知っていた。エリスが娼館に売られてきたのは、カイムがエリスの両親を殺害したことの結果であると。罪滅ぼしとして身請けした彼女をどうする資格もないという考えがカイムの態度が呼び水となった。
捜査に時間が取られエリスの相手をできないことで事態は悪化し、また勢力抗争が激化することで正面衝突する。風錆の頭であるベルナドに占拠されるリリウム、そこに突如現れる羽狩り達。ジークとルキウス卿と策略により、ティアを罹患者に見立て羽狩りを動員しベルナドの無力化に成功する。エリスも自己を取り戻して目標を見つけた、カイムが身請けに使った金を自分で稼いで返す.と……。

正直、苦痛だった。「おい、さっさと真実告げちまえよ」と何度イライラしたことか。
しかもエラーが起きて進めなくなるし。その辺は個別サポートでパッチもらって解決したわけだけど。


3章:聖女の祈祷と崩落の関係
ヒロイン:イレーヌ、ラヴィリア
牢獄の酒場で飲んでいると知った顔が訪ねてくる。以前に牢獄で遭遇した正教会の人間だった。
彼女の名はラヴィリアと言い、ユースティアに用事がありある手紙を手渡した。そこには第29代目聖女イレーヌの名前が綴られており……。
罠の心配をしつつも実際に行って確かめることとなり、聖女にお目通りが適う。夢を神託だと考えている聖女はティアのことを天使の御子と呼び、この都市に救いを齎す存在だと信じて疑わない。
このところ地震が頻発し住民達の不満は募るばかり。様々な供物を捧げ祈るも一向に変化がない、数日間ここに居て欲しいという聖女の達ての願いで聖殿に留まるも進展しない事態に業を煮やし牢獄に戻ると言いだすカイムとティア。二人を帰すわけにはいかず、啓示を受けるために不断の祈りに入った聖女、貴族たちを宥めようとする神官長、間に挟まれてマジかわいそうなラヴィリア。
不断の祈りに入ったことで通常の祈祷が行われないにも関わらず、都市が落ちないことを知ったカイムは聖女がこの都市を浮かせている中枢ではないことを知る。
聖女が強行した不断の祈りを邪魔し、怒りに触れてお付きをはずされたラヴィリア。そのラヴィリアが協会内部で血を流し倒れているところが見つかる。聖女の近くにいるために羽化病で宿された羽を自身でそぎ落としていたのだ。出血量的にどう考えても助からない状況下でありながら、羽化病が伝染するのが怖く治療に近づけない教会人。ティアが何としても助けたいと願ったことでその片鱗を見せていた力が発現する。発現された力によってラヴィリアの羽は綺麗に取り除かれた。
この事実を聖女に伝えるために聖殿へ急ぐも聖女は既に啓示を受けており、その事実をまるで夢で見たかのように言いあてた(まぁ、実際に夢でみてるんだけどね)。神官長も疑っていた聖女の力と御子の力が本物であることを公表し混乱を信仰によって抑えようと場を設ける。間が悪く、崩落が起きその事実を伝えることが出来ないままに聖女は処刑されることとなった……。

ラヴィかわいいよラヴィ、話としては牢獄から上層に舞台が移ります。ここでやっと聖女のシステムと都市を浮かせているシステムの違いが表れてきて止まらなくなるかと。ティアが発現した時は「キタアアア」とか言ってしまいましてね。


4章:第一王女の決意、王たる資質
ヒロイン:リシア

聖女の騒動が落ち着いた後、都市の謎はギルバルト執政公が握っているとルキウス卿に知らされることになる。持ち得ている情報をさらに提供するには味方についてからだという取引を受け、ルキウスの用心棒(表向きは補佐官)として付き添うことになった。
補佐官として初登城した際に召使いに扮した王女リシアに粗相をはたらいてしまう。その処分を受けることになったカイム、処分の内容は毎朝王女の元へ赴き牢獄の話をすること.これにより、王女に急速に近づくことが可能となり、都市の現状を気付かせるための手段を講じる。その一環として、リシアを食べ物で釣り牢獄を案内する運びに。不衛生な街路、腕の折られた子供、自分と年離れていない娼婦、崩落の犠牲者……上層で聞く報告と現状の牢獄のあまりの違いから戸惑いを隠せないリシア。
『子供の無知は許されるが、大人の無知はそれだけで罪』 王に連なる者として、志の在り方は今示された。決意を胸に秘め、カイムと共に真実を知るための一歩を踏み出した。


全部書いちゃうと買う意味がなくなる気がしないでもないので、この辺でやめておきます。

ここは燃える章です。リシアが変化成長する物語として素晴らしい出来です。成長したリシアのなんと頼もしいことか、稀代の名君と讃えられるのも時間の問題。王冠の演出はグッと来るね……。


5章:その翼に背負うもの
ヒロイン:ユースティア

ティアが最期まで不遇だったな、と。初代イレーヌ様が人間を恨むのは致し方ない、人を滅ぼすだけの資格がある。最終章では立場の違いから歴代のヒロインが衝突することになったわけだがティアを救世主に見立てれば普通に回避できたんじゃないかな、と思わずにはいられない。


キャラクター
ヒロイン各々が魅力的ですね、しいて挙げるならラヴィが一番気に入りました。パロディー無しの掛け合いでキャラクターの魅力だったり性格を引き出せるのは凄いことだと思う。
後、男勢が中々にイケメンですね。良い男がでる作品ってメリハリあって楽しいわ。



特に気になる点は……ありました。リシアの立ち絵についてなんですが、横から見た時と正面から見た時の胸の大きさが違いすぎることくらい。後は概ね好評。天使とか翼に弱いなー俺

演出
先に書いたように戦闘場面はマジでグダグダ。テキストの描写が控えめな点は作品的にも仕方ないなと割り切っていたので別段問題なし。しかし、戦闘場面でエフェクトだけはきっちり丁寧に用意されているのが仇になっていると感じた。あまり別のゲームを比較に出したくはないですが、DQをやってる気分になります。それもファミコン時代の。SFCの6のように攻撃エフェクト(飛び膝の緑、回し蹴りのオレンジetc)は用意されているのですが、肝心のキャラクターが一切動かないのでDQ初期の敵を攻撃すると点滅するみたいなショボサを感じてしまいます。書いたように、戦闘場面を期待して買ったわけではないのでここは減点対象にはなりませんが。
熱い展開ではリシアvsイレーヌ、カイムvsルキウスのCGや立ち位置の表し方がよかった。確かに、フィオネなんかは割かし早期に解決するのでカイムと見地が全く違っているのに仲間……みたいな微妙な点もありますが、後半に行くにつれ、それまで主要人物だった者達が自身で役割を探しそのために動き出す……って感じは最高だね。4章は良い感じに燃えた。


楽曲
オープニングや挿入歌を含め全体的によかった。ただ、私が「これだ!」って気に入る曲がなかっただけで。エンディングも肩透かし食らった感じがするし。

点数(20段階制)
80点

点数としてはこんなもん、実に惜しい作品。5章でやらかした感がパネェ 4章までが80点で5章が0点です。マイナスをつけないだけマシではないでしょうか。
終わり方は賛否両論あります。私としては非常によろしくないと考えています。勘違いしないでもらいたいのは、ハッピーエンドで終わらせるべき……ということではありません。不条理だの理不尽だのと言っていたので元来バッドエンドだと思っていましたし。
重要なのは5章の視点の問題でしょうか。今まではカイムが中心になり、様々な問題によって時代の渦を作っていましたが、5章ではまるで逆です。カイムが居ようと居まいと、勝手に外側が紛争で盛り上がっちゃってカイムは置いてけぼり。そのカイムも中途半端にウジウジしてるだけ。心理描写が丁寧と言えば聞こえはいいんですが、それは事態が進展しない場合だけにしてほしい。ティアとの別れも数分話した程度で満足して蒸発するとかおこがましい。人間なり天使を舐めるな.と。ヒトはもっと業の深い生き物だろ。
黒い液体の詳細、都市の生い立ちの細かい所も省かれていますし。もうちょっと綺麗にまとめてほしかったな.と思う次第。オーガストの資金力ならまだ時間取れただろうに……。

書き直したりとか別の人が書いたってことはない? 今まで丁寧だったのにそれに対してあまりに酷いんだけど。

抉るように書いてますが、4章までなら物凄く楽しめたので次も期待しています。
プレイ時間は多く見積もって15時間くらい。2章のエラーから9時間で読み終えたので。

穢翼のユースティア』オープニング

『穢翼のユースティア』は2011年4月28日発売予定です。